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その声音は、いつものおちゃらけた朔夜とはまるで別物。
堀田先輩との対戦でもどこか余裕があったのに、杉原先輩と対面しただけでこの様はなんだ?
お世辞でも似合うとは言えない冷や汗を額に浮かべた朔夜に強烈な違和感を覚える。
これが、学園序列レベルの実力者か……。
ここにきてようやく勝負前の空気が流れる。
ピリピリと肌が焼けるように痛い。
もし仮にも、ここで僕が負けるようなことがあれば三人そろって仲良く退学。
それは少し、カッコウ悪いな。
「なんだー?真顔になっちまって。気楽にいけよ、なにもとって喰おうってわけじゃねーんだから。ガハハハハハ」
豪快に笑う先輩に対して僕も微笑を返す。
「そうですね。とって喰われるのは、あなたたち《花鳥風月》ですから」
言い切った。
刹那、杉原先輩の表情が豹変する───と思ったのだが、
「ガハハハ、いーねー、若いってーのは!やっぱおもしれーわテメーら!」
期待外れの反応が返ってきた。
この人も朔夜同様に読めない人だ……。
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