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「ふふっ」
思わず笑いがこぼれる。
いや、実に朔夜らしい終わり方だった。
勝ったのにわざわざ降参するか、普通?
変な奴。
なんて朔夜を小ばかにしながらも、僕の頬を緩んだままだ。
変な奴なのは僕もか。
これから退学のかかった真剣勝負。しかも相手は杉原先輩。
さらにこっちはまだ、万全じゃないんだと言うのに、何故か緊張していない。
どうも、相等にあの朔夜から信頼されたことが嬉しいのかもしれない。
「なにニヤニヤしてんだクソ眼鏡?」
紫煙を撒き散らせながら恭也が僕を小突く。
そう言う恭也の顔も笑っていた。
「いや、負けられないなってね」
「ハッ、あたりめーだろが。テメェが負けりゃぁ、俺たちは仲良くそろって退学だぜ?笑えねぇな」
「それじゃ、いよいよもって僕に《No name》の命運がかかってるわけか。やっとリーダーらしい展開になってきたな!」
拳を握る僕に、恭也は笑いながら短く、阿呆が、とだけ呟く。
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