夕闇夕VS杉原剣

16/27
4038人が本棚に入れています
本棚に追加
/482ページ
戦闘開始の合図はしかし、言い終えないうちに二つの人影を動かしていた。 一つは、いきなり後退する物凄い髪型の先輩。 一つは、制服のポケットから獲物を取り出す僕。 動き出しは同時、けれど内心での動揺は遥かに僕の方が上。 まさか、一瞬で僕の行動を見抜いていたのか!? 学園序列第11位を与えられるはずだった男はやはり、伊達や酔狂じゃない。 信じたくはなかったけれど……この人は本当に恭也レベルだ!! 戦闘行為に置いて、向かい合った瞬間にいきなり逃げる・もしくは間合いを置くということはすなわち、ただの臆病者か、相手の力量を正確に判断しているということだ。 そして、この先輩が前者なわけがない!! 懐から取り出したのは筆。 書道用の少し大きめのものだ。 対し、杉原先輩は特になにかをするわけでもなく僕を見つめていた。 「道具を媒介にする能力?珍しいな……いや、不完全なのか?どっちにしろ、まだ解析の余地はあるな」 観察。分析。判断。 嫌な相手だ。 僕がまだ、実力を出せないのを感付いていてあえて攻撃はしないのか。 この手のタイプは頭が切れるだけじゃなくて、能力を使いこなせる者が多い。 恭也のように、感情に任せて暴走するのとは訳が違う。
/482ページ

最初のコメントを投稿しよう!