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戦闘開始の合図はしかし、言い終えないうちに二つの人影を動かしていた。
一つは、いきなり後退する物凄い髪型の先輩。
一つは、制服のポケットから獲物を取り出す僕。
動き出しは同時、けれど内心での動揺は遥かに僕の方が上。
まさか、一瞬で僕の行動を見抜いていたのか!?
学園序列第11位を与えられるはずだった男はやはり、伊達や酔狂じゃない。
信じたくはなかったけれど……この人は本当に恭也レベルだ!!
戦闘行為に置いて、向かい合った瞬間にいきなり逃げる・もしくは間合いを置くということはすなわち、ただの臆病者か、相手の力量を正確に判断しているということだ。
そして、この先輩が前者なわけがない!!
懐から取り出したのは筆。
書道用の少し大きめのものだ。
対し、杉原先輩は特になにかをするわけでもなく僕を見つめていた。
「道具を媒介にする能力?珍しいな……いや、不完全なのか?どっちにしろ、まだ解析の余地はあるな」
観察。分析。判断。
嫌な相手だ。
僕がまだ、実力を出せないのを感付いていてあえて攻撃はしないのか。
この手のタイプは頭が切れるだけじゃなくて、能力を使いこなせる者が多い。
恭也のように、感情に任せて暴走するのとは訳が違う。
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