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いやいや、朔夜じゃないけどそれは過大評価ですよ、先輩。
隠す隠さないなんて器用なことができる能力でもありませんからね!
「で、能力を使わねーのはどーいった理屈だよ?」
杉原先輩は足元に転がっていた拳大の石を持ち上げながら訊く。
「さぁ、どーいった理屈だと思いますか?」
挑発するように笑いながら質問を質問で返した。
先輩は、その石を片手でポンポンと放り投げながら、片目を瞑って退屈そうにもう片方の手で頭を掻く。
「確か、前の時も使わなかったよな……?あー、わかったわ。りょーかいりょーかい」
刹那、放り投げられていたはずの石が唐突に姿を消した。
「使うのに色々と制約があるタイプの能力者か」
何もない空中に先輩は拳を叩きつける。
数舜置いて、僕の顔面スレスレに突風が吹いた。
「不幸だなー、てめーも。能力を使わないで俺に勝つなんていささかナメすぎじゃねーのか?」
瞑っていた片目を開眼。
同時に、敵意と寒気が僕を包む。
杉原剣、本領発揮。
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