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ありえない。
完全に、見えなかった。
いや、この表現じゃ違和感を拭いきれない。
まるで、細工された映画のフィルムみたいに、一瞬にして動作が変わっていたのだから。
「ガハハハ、見くびられたもんだな、俺も。雹の野朗に足技を教えてやったのは俺だぜ?
まぁ、あいつは自分でかなりアレンジしてたみてーだけどな」
わからない……なにが起きたのかまったく理解できない。
だけど、それよりも……
手加減されたことに腹が立って仕方がない!!
「立てよ、眼鏡。加減はしたんだ、立てねーほどじゃねーだろ?てめーの根性、見せてみろよ」
まるで本気の子供を軽くあしらう大人のような態度で、杉原先輩が僕に対して手招きをする。
多分恭也なら、今の攻撃を喰らっても反撃に出れただろう。
多分朔夜なら、今の攻撃で先輩の能力をある程度分析できただろう。
だったら僕は、尚更倒れてる場合じゃない。
筆を握り締めて立ち上がる。
酉の刻まで、あと数分。
だけど、そこまで耐えるつもりはない。むしろ逆、
その前にぶち倒す!!
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