夕闇夕VS杉原剣

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さっきの試合で朔夜が蹴破ったドアの破片か……。 「なーんて、するわきゃねーよなー、てめーらが?」 依然、激痛を訴える頭は近付いてくる杉原先輩に対してなんのアクションも起こさない。 脳震盪。 揺れる視界の中で、杉原先輩の手が軽く握られる。 刹那、鞭のようにしならせた先輩の手が僕の腹部に炸裂した。 「かっ……!」 無言で繰り出される第二撃の膝蹴り。 防衛本能がなんとか腕でガードをするも難無く破られる。 ただただ一方的な暴力。 完全なワンサイドゲームだ。 とどめとばかりに胴体を蹴り飛ばされて地面に転がる僕を眼下に、杉原先輩は同情するように言葉を紡ぐ。 「はん、頑張ったよ実際。てめーらはよくよくまー、頑張った。新米の素人チームにしちゃぁー上々だ。だがな、その程度じゃ俺には勝てねーよ」 だから、と先輩は続ける。 「ここで終わりにしよう」 振り下ろされた槌の右脚。 それを見て僕は覚悟を決める。
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