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つま先が怒号をあげる。
体の調子は中々に良好。
眼鏡が無くても問題は無い。むしろ、以前よりも確実に好調だ。
文字通り、枷がとれた。
素早くも達筆に筆を走らす。
マテリアルは風。
キャンパスは右腿。
顕す字は《風》。
相坂の見よう見真似。
突進じゃ。
右足で再び地面を蹴り飛ばす。
肩で風を切る。耳元で風が哭く。
「!? っ、速」
まるで一発の弾丸のように儂の体が右肩を先端にして目を見開く杉原に向かって飛ぶ。
自分でも想定外の速度。構えていたとは言えこのスピードは簡単に避けられるものではない。
空気が壁となる。
しかしそれさえも貫かんばかりの勢いで、そのまま杉原の体へと突っ込んだ。
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