夕闇夕の反撃

5/28
前へ
/482ページ
次へ
「うっ、オオおおぉォォおおおオオおオォォおオおおお!!!!」 叫びながらも、まるで砲弾のようじゃ、と儂は自嘲気味に思案しておった。 頭上で、がはっ、と空気の漏れる音が聞こえたが、すぐさま風に掻き消される。 強力すぎる、体当たりだった。 しかし元の位置よりも10メートル近く吹き飛ばされた杉原は得意の足技を応用でもしたのか、それでも倒れ伏すようなことはなく立っている。 化け物め。 苦い呟きじゃ。 だが事実、奴は今の攻撃で“受けるはずだった”地面に激突するダメージを未然に防いだのだ。 しかし、と儂は顔を上げる。 今の一撃は大きい。 「ハッ……ハッ、……くぅ。がはっ、ごほ……っ!」 辛そうに胸を押さえて咳き込む敵の姿を視認しながら、儂は思わず微笑んでしまう。 恭也の言うてた通りか。 油断禁物。 格下に追い上げられると焦る。 焦ると本来の動きが出せなくなる。 だからそこを突け。 それが、最大の武器!
/482ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4038人が本棚に入れています
本棚に追加