夕闇夕の反撃

7/28
前へ
/482ページ
次へ
杉原が油断をしていたわけではなかろう。 ただ、奴の定めていた儂の力が、儂と同じ程度の予想しかしていなかただけじゃ。 つまり、儂自身ですら驚く程に儂が強くなっていた。 それこそ、儂自身ですら驚く程に!(二回繰り返していますが本人は馬鹿丸出しなので気付いていません) 結局のところ、杉原の確信していた儂の程度が、それよりも上だったということじゃ。 うむ、油断じゃな。 結局油断で落ち着いた。 一つ。 迫りくる脅威が右肩を突き飛ばす。 一つ。 襲いくる驚異が腹部に哭く。 一つ。 向かいくる強意が脇腹をかすめた。 ギリギリで躱しおった!? 「いってぇ~!くっそ、油断した」 あれを躱した身体能力は確かに恐ろしいが、今の攻撃は効いている……。 確実に金髪(恭也)の言う通りじゃ。これで、右手は封じた。 自然と口の端が歪んだ───が、 戦果の余韻に浸るのも刹那。 そこにいたはずの、 そこにいなくてはならないはずの、 杉原剣の姿はまるで、存在そのものごと消えていた。 「なっ!?」 馬鹿な。ありえぬ。 先刻まで儂の目の前にいたのじゃぞ? 油断していたのは自分だ! 少し上手くいったからと言って優越感に浸ってしまった。 仮にも相手は序列を蹴った男だと言うのに!! 「よォ、誰探してんだー?」
/482ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4038人が本棚に入れています
本棚に追加