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「はん、死に物狂いじゃねーか」
地面に体が着くよりも速く、背中を蹴られた。
その勢いで、体が横転する。
結果、何度も地面を転がりながらダメージを軽減することに成功した。
「どーだよ、今の?中々いーコンビネーションだったろ?
俺が教えた技を雹が改造してたのを見てさらに改良してみたんだ。
名付けて、…………?」
「?」
「まぁ、いいや」
技名も明かせぬ程の秘奥義なのか!?
それにしても……いったい何の能力なのじゃ?瞬間移動?透明化?空間圧縮?
姿を消し、一瞬で移動し、届かない距離を無視して攻撃する。
まるで未知数。能力を複数所有しているなどと言う馬鹿げたことを考えてしまうほどに不可解な能力じゃ。
恭也のようにシンプルで破壊的なちからとはまるで違う。
逆。
複雑でいて応用の利く能力。
では結局なんなのか?
「呆けてていいのかよ?また俺を見失うぞ?」
途端、例によって例の如く杉原の姿が煙のように消えていく。
気配そのものが消える。足音も、消える。しかしまだ、攻撃がこない。
と、後方で砂利を踏みしめる音が聞こえた。
瞬時に振り向く、それとほぼ同時に小童の革靴が飛んできた。
まずい、と儂が慌てた直後に───強烈な違和感を感じた。
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