夕闇夕の反撃

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音? そうだ……。 彼奴が不可解なちからを始動する際は、必ずと言っていいほど彼奴自身が出す音が無かった。 しかし、音が聞こえた時はすでに能力を解除しておった。 何故じゃ? 考えているうちに、杉原の足先が儂に向かって駆ける。 胸を爪先で突き飛ばされた。炸裂と同時に、呼吸が半強制的に中断。 しかしまだだ、これで終わるほど甘い男ではない。 「歯ぁ食い縛れ」 握り締めた拳が地を這うようにしてけれど、目前で上昇する。 !? 目を見開くことさえも許されない追撃。 ゴッ!! と鈍い音がして、杉原の拳が儂の顎を殴打した。 「ぬが!!」 砕けた?今、砕けなかった、これ!? 口内で鉄の味が充満する。 今の一撃でこちらは完全に動けないというのにそれでも尚、杉原は拳を止めない。 距離を置くことさえも許してくれない。 完全に追い詰められていた。
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