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憤る小童が三歩、こちらの領域へと踏み込んだ。
「そう急くな、小僧。今、見せてやろうぞ!!」
文字は顕した。
だから後は、力を流すだけ。
マテリアルは空。
キャンパスも空。
顕す字さえも《空》。
喰らえ、夕闇式陰陽術第四章。
「《天洞菩薩》」
───音は無かった。
ただ、そこに顕れた《空》という字を中心に、突風が吹き荒れる。
空気が、
飲み込まれる。
そこに浮かぶ《空》の一文字を中心に、周囲の空気が根こそぎ圧縮されて、飲み込まれる。
それは、見る見るうちに膨張していった。
「これが儂の本気じゃぞ、小僧!!」
擬似のブラックホール。さながらそこに《空》を造るように、何も無い空間が広がっていく。
未熟な儂にはこの技をまだ使いこなせていない。
故に、これは暴走と言っても過言じゃなかった。
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