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‐気が進まない‐
俺は重い気分の中でハンドルを握っていた。
なぜ気分が沈んでいるのか。それは数十分前に遡る。
「この娘達は俺の友達なんだけど、俺達のドライブに付いてきたいんだって」
集合場所に着いて車から降りた途端に、友人の高村がそう告げた。
「でさ、俺達って3人だろ?1人ずつ乗せれば丁度だろ?」
俺が口を開く前に、更に言葉を続ける。
しかも、次々に自己紹介をされてしまった。
今更『ダメ』とは言えない。
俺は渋々ではあったが了承せざるを得なかった。
渋ったのには理由がある。
ドライブ、と言えば聞こえはいいが、俺達は峠を本気で攻める『走り屋』と言われる集団だ。
人を乗せれば、全力で走る訳にはいかない。この日を楽しみにしていた俺は、落胆したのだ。
一通り自己紹介も済み、行き先を決める事になった。
もう走る事を諦めてはいる。だけど、雲行きが非常に怪しい。
どうも心霊スポットの名が挙がっている。
「じゃあドライブを兼ねてあの廃屋にいってみよう」
決定しかけた案に、俺は必死に反対した。
だが、所詮は多勢に無勢。多数決は5対1。
結局、行く事になってしまった。
そんな訳で‐気が重いのだ。
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