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2階に着いた途端、空気が変わった。
1階も空気は淀んでいた。だが違う。ここは余りにも違う。
もの凄い圧迫感がここにあり、突き刺さるような空気なのだ。
廊下で立ち尽くして居ると、左の部屋から先行していた2組みが出てきた。
「何ビビってんだよ?何にもないぜ?」
能天気な仲間の一言。
やはり何も解っていない。
俺と佐藤さんの制止も聞かず、仲間は奥の部屋に入って行った。
俺は頭痛を感じながらも、後ろに付いて行った。
ライトに照らされる室内には、他の部屋には見られなかった荒れた光景が広がっていた。
この一室を見た瞬間、ここが廃屋なのだと再認識させられた。
それ程までに、この廃屋は生活臭を残していた。
そしてそれは、緊張感もなく歩き回っていた2組みをも萎縮させた。
「何でココだけ?」
はしゃいでいた女の子が困惑の声を漏らす。
余りにも違いすぎるので、そう思わせるのには十分だったようだ。
さっきまでの彼らは、探検気分だったのだろう。
だが今、初めて恐怖にさらされた。
ライトを持つ手が微かに震え始める。
暗闇に映る荒れた部屋は、それだけで不気味だった。
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