第一夜

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結局、押し間違いと言う結論になり、もう一度入力しなおして場は収まった。 しばらくは何も起こらなかったが、またあの曲がスピーカーから流れた。 「誰よコレいれたの?冗談はいいって」 笑いながら友人は俺ともう一人の友人を見た。 だが‐ 「俺達じゃないぞ?」 そう、誰もあの曲を入れて居なかったのだ。 数秒の沈黙の後、俺は無言で今流れているあの曲を消した。 「冗談は…やめようぜ」 笑顔を引きつらせながら、俺達は異変を笑殺しようとた。 友人2人も俺も、誰もいれた覚えのない曲が流れた事を受け入れたくなかったのだ。 気を取り直して歌いなおそうとした時、空気が凍り付いた。 選曲を受信した時の電子音が、機械から聞こえたのだ。 そしてまた、あの曲が流れた。 しかも、今回は誰もリモコンを触っていない。 勝手に曲が流れたのだ。 俺達はもう、傍観するしか出来なかった。 何が起きているのか…理解出来ないでいたからだ。 スピーカーからは今も尚、イントロが流れている。 俺達は恐怖に顔を歪めた。 理解は出来なくても、事は確実に進んでいる。 まるで金縛りにあったかのように、俺達は動けなかった。
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