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恐怖が俺を支配する。
あの瞳は、俺が視線をズラした先に必ず現れる。
半狂乱になりながら、俺は必死に山を降った。
だが、余りにも冷静さを欠いていた為か、俺は足を滑らせ山道を転げ落ちた。
どれくらい転がったのかは解らない。
だけど、地面に倒れこんだままで転がって来た道を見てみれば、散乱した道具が遠くに見えた。
そして…あの瞳が目の前にあった。
何度もまばたきをしながら俺を見ている。
そこからはからは何の感情も見て取れない。
俺が覚えているのはそこまでだ。
どうやら気を失い、紅葉狩りの登山者に助けて貰ったらしい。
目を覚ました所は病院のベッドの上だった。
それ以来、俺はカメラを持っていない。
あの瞳は一体何だったのか、目的はあったのか。なに一つ解らなかったからだ。
はっきりしているのは、今でもマレにあの瞳が俺を見ていると言う事だけだ。
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