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それから雪は止むことなく降り続けた
あいにくそれまで降っていた大雨のせいで路地は湿っていたため雪が積もることはなかったが
ところどころの景色を白く染め
ここがいつもとは違う場所ではないかと錯覚させる
あれから僕と有希はたわいもない会話を続けていた
有希はおしゃべりで大袈裟で
話す時には小さな身体をいっぱいに使ったアクションを交えて大きな大きな声で止まることなく喋り続ける
そして時折、あの笑顔を僕に見せてくれた
そんな彼女と打ち解けるのは想像以上に簡単だった
そんな感じで時間はあっという間に過ぎていく
「あ!!もうこんな時間!!ヤバい!!帰らなきゃ!!」
時計の針は夜の11時を指していた
「つい話込んじゃったね。ギターの邪魔してごめんね。夜道は危ないから送っていこうか?」
「ううん。ケンちゃんとお話できてすっごい楽しかったから!私電車で帰るから大丈夫だよ!ありがと!」
「俺もめちゃくちゃ楽しかった!そっか。じゃあ駅まで送るよ。雪降ってて危ないし。」
本当はただ
少しでも長く有希といたかっただけだ
「じゃあお言葉に甘えて。」
二人で駅に向かい歩き始めた
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