死神の影

2/2
前へ
/31ページ
次へ
小さな頃から、人や猫や犬や鳥に時々ですが、影を見る時がありました。 その影は、地面や壁に映る影と違い、なぜかいつも、頭の上に現れてました。あれ?と見つけた瞬間すぐに消えてしまうんです。だから気のせいかも…と毎回思うんです。 初めて見たのは、昔、小さな頃に飼っていた犬でした。 その影を見た一週間後、車にはねられ死にました。 そんな感じで、毎日ではなく、本当に一、二年に一回くらいのペースで、そういうのがあって。 だんだん影を見つけると、凄く不安になるようになってました。 でも数年前、福岡から久しぶりに沖縄に帰った時の事です。おばぁちゃんと久しぶりにいろんな話をしてる時、おばぁちゃんが言いました『最近よく死んだじぃちゃんの夢を見るよ。あたしのお迎えももうすぐだね…』と、ポツリと言った時、僕はそれまで大好きなおばあちゃんの前では、絶対泣かない、怒らない。常に笑っていよう。っていうのが、自分自身の不動の鉄則だったのに。 二十代半ばにもなった大の大人にもかかわらず。ボロボロ涙が溢れました。 おばあちゃんはビックリして、ごめんなさいね…そんなつもりで言ったんじゃないよ…心配してくれてありがとう。やっぱり○○んくんは優しいね。 と言われました。 でも違うんです。 僕が泣いたのは… おばあちゃんの一言ではなくて… おばあちゃんの頭の上に黒い影が見えたからなんです。 その時わかった事があります。 おばあちゃんが言うように、身近な人が夢に出て死を知らせたり、人は死を察知する能力があると言う事。 そしてそれは、自分自身の死が近ければ近いほどに必ず色んな形でサインがある。という事です。 おばあちゃんが言った通り。その帰省した時から四ヶ月後のクリスマスイブにおばあちゃんは倒れ、そのまま亡くなりました。 その時以来影は見てませんが… 正直…見たくありません。身近な人であればあるほど、凄くショックだし、どうする事もできない自分自身が嫌になるからです。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加