霊域

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沖縄本島中北部…○○貝塚…という、沖縄戦で命を失った数多くの名前も解らない人達の為の御墓…貝塚があります。 そこへの入り口とはまた別に、貝塚の裏にある霊山への入り口があるのを知っているのは、地元の人くらいです。 僕は高校を卒業した年の夏、友達と四人で興味本意にその別の入り口へと行きました。 なんでもその入り口は霊界へ続く入り口だとかで、地元の人でさえめったに近寄らないのだとか。 僕が小学生の時からそこは有名な場所でした。 なぜかというと、その霊山はもともと修行僧達が修行を行うための場所。霊域として、一般人は入れない場所というだけでなく。 入り口は薄暗い森の中、不自然に綺麗な下り階段が森の奥へと続いていて。 最初の看板には、 『この先立入禁止』 さらに進むと 真っ赤な小さな鳥居があり。 その横に二枚目の看板が 『この先霊域の為許可の無い一般人の立入を禁ず』 という看板 さらに進み そこには最後の三枚目の看板が 『ここより先、命の保障はありません』 という看板があるという噂。 その噂には続きがあり。三枚目の看板を見た人は、必ず死ぬ、もしくは精神病院に行くはめになる…という噂でした。 こんなに異常なくらい皆この貝塚の裏山の噂話を知ってるのに…誰ひとり三枚目の看板を見た人がいない…というのが。理由のひとつだと思います。 それを確かめる為に、僕らは友人の興味本意な一言でそこに行く事になりました。 友人の車に乗り貝塚から少し離れた場所へ密集した住宅街を抜けて行く時。なぜかそこの近くの家は皆犬を飼っていて。 今まで経験した事ないくらい背筋が凍りつくぐらいたくさんの犬に、異常な吠えられ方をされました。 その犬の声はまるで… …いくな!…いくな!! と、叫んでいるように聞こえました。
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