霊域

3/5
前へ
/31ページ
次へ
住宅街を抜けると、ある沖縄では有名な某工場の裏に付きました。 工場の裏は不思議なくらい森から離れていて。まるで森から何かの侵入を防ぐように柵というか高い金網がびっしり森の目の前に続いてました。 そして、そこにも黒い大きな犬が(恐らく工場内で飼っている犬)いて、僕らに向かい狂ったように吠えていました。 なのに… 変なのは… 僕らが森の一枚目の看板『ここより先立入禁止』の横にある階段の場所までいくと、急にピタリと犬の鳴き声が止まったんです。 犬は何かに怯えるように…そばにある犬小屋へ入って行きました。 僕らは何とも言えない不安でキモチ悪い空気のなか、精一杯明るくふるまいながら。(かなり無理して)ガチガチの笑顔でA君『…じ、じゃあ行くか…』 B君『お、おう』 C君『順番…決める?』 僕『じゃんけんな…』 と、入り口前でじゃんけんをして。 先頭がA君。2番目がC君。3番目が僕。4番目がB君。と決まり。 階段を下り始めた瞬間。 真夏の真昼間なのに。まるでクーラーを入れてるような冷たい風が吹き。 僕らが足を踏み入れた途端。虫や鳥の声もピタリと止まったんです。 A君『お…おれもうだめ…気持ち悪い…』と、先頭から足早に引き返すA君はそのまま車に戻っていきました。 僕『ありゃりゃ…まだ階段の半分も行ってないのに…』 皆で笑いながら 実は内心A君と同じ心境なのに意地を張り 階段を下りていく僕ら。 すると二枚目の看板が。 そこには、僕は内心嘘っぱちだと思っていた。あの文章が… 『ココヨリ先、霊域ノ為許可ノナイ一般人ノ立入ヲ禁ズル』 不気味なのは、なぜカタカナなのかという事と。白い腐りかけの看板に全て紅い字で書いてあったからです。 さすがに三人とも声が出ませんでした。 僕『…どうする?…』 B君『…でも…ここまで来たら…』 C君『…行くしか…なあ…?』 僕『…俺の五感と第六感は…この先イクナって言ってるけどな…しゃあない…行くか…』 僕が先頭になり、紅い鳥居をくぐり階段を一歩踏み出そうとしたその時。 急に突風が吹き、木々が大きく揺れ、鳥や虫、さっきの犬までがまた鳴き出したんです。 その時まるでジェットコースターで高い所から急に下がった時みたいに心臓がストーンって落ちたような感覚になり
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加