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『これでよし…もう動けねぇだろ。』
アランは口から出ていた血を拭い大剣を背中に収めた。
『うっぐ……なんでオレが、こ、こんな目に…』
トロールは泣いていた。
アランはうつ伏せになっているトロールの背中に座り、葉巻をくわえる。
『モンスターはひっそりと暮らさなきゃいけないんだよ…』
アランはそう言うと葉巻の煙をフーとはいた。
『お、オレはただお手伝いをしただけなのに……
に、人間はそれだけでもオレをこ、殺すのか…?』
アランは
『お手伝い?お前家畜を襲ってたんじゃいないのか!?』
トロールは力ない声で
『違う……お、オレは家畜なんて襲ってない……
あ、あれはお手伝いのお礼としてもらったんだ……。それを兵士が勘違いして…おじさんがオレをかばったけど
そしたら今度おじさんが
ば、化け物をかくまった
てい、言われていじめられてたんだ…
だからオレは助けた…
森から見える所だったから…』
『森を伐採されて食料がなくなったから家畜を襲ったわけじゃないよな?』
アランがそう聞くと
トロールは少し顔を横に振り
『違う…か、家畜を襲うぐらいなら他の森を見つける』
『そっか…………』
たとえ仕事とは言え
アランは
純粋な心をもった少年を惨殺した気分だった。
『おい………』
『ん…?』
『指もらっていっていいか?』
『あぁ…か、かまわないよ…』
『あっそれと…』
『なんだ?』
『楽に死にたいか?』
『…………あぁ、い、痛くてしょうがない…』
『…分かった』
アランは吸っていた葉巻を捨てると
大剣を抜き構える。
グシャ
振りおろされた剣はトロールの首をはねた。
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