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とりあえず、目的地には到着した事を確認出来たルークだが、彼の予定は完全に狂っていた。
今の彼はほぼ一文無しだ。
それを補う為、山賊狩りをして金を稼ぎつつ、このルーンソルトへ到着…というのが、彼の予定だった。
だが、一切稼ぐ事も出来ず到着してしまうと、この先が不安で仕方がない。
(……そうだ、あのエリーとかって女を引き渡せば、とんでもない大金が手に入るんじゃ…)
そう思い至った時だった。
『ボンッ!』といういかにもな爆発音と『うわぁっ!?』というやはりいかにもな悲鳴が、扉の向こうから聞こえた。
扉の隙間からは、何かが焦げた様な臭いと黒い煙。
さすがに気になったルークは冷や汗びっしょりで扉を開けた。
「おいっ、どうしたっ?」
「ど、どうも失敗したらしい…。問題無い、いつもの事だ」
いつも料理するときはこんな調子なのか……?と、ルークは口にはしなかったが、そう思った。
「ったく…」とルークは小さく愚痴ってから「どけ。俺が作る」
「いや、しかし──」
「あんなマンガみたいにド派手な失敗する奴に、料理つくらせるとろくな事がない」
「だが──」
「よく見ておけ。料理がどういうものかをな」
「だから──」
「なんだお前、さっきから煩いぞ?そんなに俺が作る事が不満か?」
「そうではなくて……」
「なら黙って見ていろ。食材は何が残ってる?というか、何処にある?」
「その食材なんだが……申し訳ない。もう残って無い」
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