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腹がへった……
どこかに食い物は落ちてないだろうか……
金も無いから、金が落ちてれば尚の事良い……
そんな事を考えつつ、青年は山道を歩いていた。
町を出て大分経つ。次の町まで、あと三日は掛かるだろう。
なのに、食料は全て尽きてしまった。
空腹と闘いながら、青年は次の町を目指す。
山賊でも現れないだろうか…
そうしたら、とりあえず金銭的な面はなんとかなるのに…
なぜ山賊が現れれば金銭的な面はなんとかなるのかは謎であるが、そんな事を考えつつ、そろそろ山頂の辺りだろうかといった所に着いた時でる。
「大人しく観念しな、バケモノ女め」
「私はバケモノではない。れっきとした人間だ。これだから山賊は……言葉を選べ」
山賊?
丁度良い。
俺がこの山賊を熨せば、襲われてる女の子も助けれるし、金稼ぎにもなる。一石二鳥だ。
そう思い、すぐさま横槍を入れる準備を始める青年。
腰に収めてある刀は万全である。
荷物はここに置いて行くべきと判断した。
相手人数がわからない現状、少しでも動きやすい方が良い。
あとはタイミングを見計らうだけ──
「バケモノ女め……自分がどんな身分か分かってて言ってんのか?」
「五十兆ダラー(ダラー:この世界の共通通貨)の賞金首だろ?知ってるよ」
「五十兆!!??」
話を遮ったのは、先程の青年である。
「お、丁度良い。あんた、このバケモノ女を倒すの手伝ってくれよ」
「どうするのだ?山賊の手助けをするなら、容赦はしないが」
「俺は……」と少し俯き、青年は「どんな理由があろうと、女を大人数でおそう様な輩の手助けは出来ないね」
青年は腰から刀を抜き、山賊達に向けた。
山賊達は驚きを隠せない表情で、
「刀……?お前、まさか…」
「ああ、そうだよ」
「俺は魔法が使えない」
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