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「ハーッハハハハッ!!!!」
山賊達はこれでもかと言う程笑った。
この世界では、魔法が使えて当たり前だからだ。
つまり、山賊達も魔法を使える。
それに、多人数でとはいえ、五十兆ダラーもの賞金首に挑むのならば、個々の能力もまたかなりのものであろう事も、青年はしっかりと把握していた。
だが、山賊達が笑ったのにはもう一つ理由があった。
「アニキ、こいつ【禁行者】ですぜっ!」
「あぁ……こいつを引き渡すだけでも、かなりの値段になりそうだ……」
戦争で全世界が破滅し欠けて以来、銃や剣、刀等の武器はもちろん、コンピュータ等の人工知能、化石燃料を使用する原動機類などの製造・使用を全面禁止するなど、二度と同じ失敗を繰り返さない為の処置を全世界が一斉に始めた。
これによって衰退した科学と反比例する様に発展したのが魔法であり、また、禁止された事を行っている者は【禁行者(きんこうしゃ)】と呼ばれ、禁行者は捕まれば死刑に等しい罰則があり、禁行者を捕まえた者には多大な報酬が出るのだ。
だが、青年が魔法を使えないのが禁止項目に引っ掛かるという訳ではない。
青年が禁行者になってしまうのは、刀を所持しているからだ。
「……お前、魔法が使えないのか」
「……そうだよ。笑いたきゃ笑え」
背後からの少女の声に、青年は振り返らずに答えた。
「笑いなどしないさ。むしろ今のこの世界で、魔法が使えずにそれでもそこまで生きてきた事は凄い事だと私は思う」
青年は呆気にとられた顔をしながら振り返った。
そんな事を言われたのは初めてだったからだ。
初めてまともに見た五十兆ダラーの賞金首の少女の表情は、少しも青年を見下す事無く、むしろ尊敬の念さえ感じるものがあった。
「よしっ、てめぇら!ターゲット変更だっ!!あの禁行者を取っ捕まえんぞ!」
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