トロワ

10/12
前へ
/168ページ
次へ
中は宝物庫のようになっていて、宝箱やら壺やらがたくさんあった。 エトワルはスタスタと中へ入る。 私も恐る恐る中へ入った。 エトワル「見つかったら困るから扉しめて。」 扉をしめた。 トロワ「エトワルさん。 そろそろ本当のこと教えてください。」 エトワル「欲しいものがこの部屋にあってね。 俺はそれを探すためにコキーユに来たんだ。」 トロワ「つまり… これって泥棒ですよね?」 エトワル「そうともいうね。」 やられた… 私は泥棒の片棒を背負わされてしまった。 エトワルは気にする様子もなく目的のものを探している。 トロワ「私帰ります。」 エトワル「待って。 帰らないで。」 エトワルが私の腕をつかむ。 こんな状況でもときめいてしまう自分が腹立たしい。 エトワル「トロワにはやってもらいたいことがあるんだ。 それに帰り道覚えてないでしょ? ここは魔法を使えない作りになってるから転送魔法も使えないよ。」 む… 確かに帰り道は分からない… でも私にやってもらいたいことってなんだ? エトワル「見つけた。 トロワちょっと来て。」 私は呼ばれた方へ行く。 黒い石でできた私と同じ大きさくらいの人型の彫刻がそこにはあった。 首には綺麗な青い石のネックレスがついている。 不気味にキラキラ輝いているように見えた。 トロワ「これを私にどうしろと?」 エトワル「このネックレスは悪魔によって守られている。 悪魔の許可なくとろうとすると呪われるんだ。 トロワには、その悪魔の説得をしてほしい。」 トロワ「何故に私が? 自分でやればいいじゃないですか!」 エトワル「僕はそういう魔族から信用されてないからね。 魔女のトロワなら、話せばなんとかなるだろ?」 こいつ、私が魔女だと知ってて連れてきたのか。 私が躊躇しているとエトワルに抱きしめられた。 トロワ「むきゃ!」 エトワル「お願いだ… どうしても必要なものなんだよ…」 トロワ「うぅ… 分かりましたから離してください!」 エトワルが私を離す。 多分私の顔は今真っ赤だろう。 体中が熱い。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加