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私は彫刻に向き直り話しかけた。
トロワ「悪魔さん。
話があるの出てきて。
私は山吹の娘のトロワです。」
悪魔の反応を見る。
すると彫刻の口がゆっくりあいて中から、むにゅーっと悪魔が出てきた。
出入口の大きさに対して悪魔が大きいので気持ち悪い形に変形して出てきた。
出てきた悪魔は私と同じくらいの大きさの細い悪魔だった。
大きさから判断してかなり高位の悪魔だろう。
にやついた顔が不気味だ。
悪魔「山吹の娘といったかな…おじょうさん。」
トロワ「はい。そうです。」
悪魔「そうですか、あなたがあの山吹の…
いえね、山吹は悪魔たちの中でもかなり名の通った魔女でね。
銀の魔女を倒したから…
それで…
私に話とはなんですかな?」
トロワ「そのネックレスをいただきたいのですけど、呪わないでもらえませんか?」
悪魔は私を見つめて、そのあと少し後ろにいたエトワルを見た。
悪魔「山吹の娘はこれがなんなのかわかっているのですか?」
トロワ「いえ…」
分からなかった。
確かにただのネックレスを悪魔にみはらせることは普通しないだろう。
悪魔「止めることをお勧めします。
山吹もきっとそれを望まないでしょう。」
私は困ってエトワルの方を振り返る。
エトワルが近づいてきた。
エトワル「トロワお願いだ。」
トロワ「でも…」
エトワル「僕にはどうしてもそれが必要なんだよ…」
悩んだ。
でも困っているエトワルを助けたいと思った。
なのでもう一度悪魔を説得することにした。
トロワ「お願い…
どうしてもそのネックレスが欲しいの。」
悪魔「………
分かりました。
そこまで言うなら差し上げましょう。」
悪魔は彫刻からネックレスを外し、私の首へかけてくれた。
宝石がとても重い。
悪魔「よくお似合いですね…
では、私はこれで。」
悪魔が吸い込まれるように彫刻の口に入って、口がまた閉じた。
もう少し気持ち悪くない出入りはできないんだろうか?
ジジジジジジ
急に警報がなり始めた。
悪魔「警報を止めろとは言われませんでしたので…
早く逃げた方がいいですよ…山吹の娘…」
悪魔が彫刻から顔だけ出して微笑んでいる。裂けたように大きな口が恐怖を掻き立てた。
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