0人が本棚に入れています
本棚に追加
「あなたもいつまでも人間を毛嫌いしていないで、少しは懐いてあげたらどう?」
…ああ、また始まった…。
彼女の話は長い。
今すぐ退散したいような気もするが…ちょうど暇をしていたところだし、まぁ、少しくらいなら、良いか。
我輩は伸びをし、そこに座った。
「人間に飼われるのも悪くはないわよ。
お部屋の中は暑くも寒くもなく快適だし、体に異変があればお医者様に連れて行ってくれるし、ご飯は美味しいし…」
言って彼女はふくよかな腹を我輩に見せ付けた。
…さすが飼い猫は、人間の流行というものをよく分かっている。
その腹は今、人間社会で流行の「メタボ」というヤツである。
一体毎日どれ程美味い物を食っているのやら。
一方、我輩のお腹はぺったんこ…。
…ああ、肉食いてぇ。
「そうそう、聞いて! 隣町のノラさんにはついに出来たのよ!!」
我輩の空腹などいざ知らず、彼女は言葉を続けた。
最初のコメントを投稿しよう!