『桜華』

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君は、微笑み俺の手を自分の頬に当てる。 「血がつくぞ…。」 苦笑いでそう言うと頬に温かい液体が垂れる。 君の涙だ。 「…いいんです。逆に離したら高槻さんが消えてしまいそうで…そっちの方が恐いです。」 「君は、…泣き虫だな。」 「高槻さんが意地悪なんです…。」 君の涙を掬うと君は、嬉しそうに微笑んだ。 俺は、……駄目だな。 君を離せそうにない。 許してくれるか…? 柚子…。 俺は、君にもう一度惚れてしまったらしい…。 ごめんな…、俺は、我が儘だから。 臆病だから。 手を上に向けさ迷わせていると、君が俺の手を掴む。 「君の名を…教えてくれないか…?」 声が震える。 「はい。東月 柚子香(トウズキ ユズカ)と言います。」 君…柚子香は、嬉しそうな声で自分の名を言う。 「ゆ…ず…か?」 「はい。」 ハハ 名前までそっくりなのか…。
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