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むかしむかし月が明るく照らす夜、背中に三日月の傷を持った人が空から落ちてきました。
地上の人々はその人を明るく照らす月からやってきた者として月人(ツキビト)と呼びました。
その人が目を覚ますと人々は彼を月からやってきた人として丁重に扱いました。
そしてある日人々は彼に月はどんな所かと尋ねました。
すると彼は何も覚えていないと言って、申し訳ない。と人々に頭を下げました。
人々は残念に思いましたが、彼への扱いは変わらないままでした。
そして何年か経った後、彼はむかしの記憶を取り戻したのです。
―自分は天使だった。でも、人間の村を一つ消し去った悪い天使だった。自分はその報いで羽根を奪われて、堕天したんだと―
彼はすると、ここの人達に罪悪感を持ちました。
犯罪者を彼らは敬っているんだ。と。
月から来たのでは無い…。
自分は天界から墜ちた身。
そして彼は静かにその地を離れました。
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