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男はイッた後、どうでもよくなる。目の前の女にどうでもよくなる。
備え付けのティッシュで拭いて、皺の寄ったシーツに身を沈める。
横にいるマミが欝陶しい。たまらなく欝陶しい。オレを見ないでくれ。
「ねえ、ケージ、アタシのこと好き?」
そんなもん、知るか! と叫んで唾を吐きかけたくなるが、ぐっと堪えて「ああ」と曖昧な返事をした。
マミはオレの腕に絡み付いて「ホントに?」と訊ねる。
面倒くせえ。マジで面倒くせえ。オレはマミの唇をキスに似た行為で塞いだ。
虚しくなって、バカみたいだと思った。ただの唾液交換だ。
あれ? と思った。いつか唇が溶け合うような官能的なキスをした気がする。マミとのキスではないことは間違いない。でもそのキスを思い出せない。
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