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一章
人は嬉しい記憶は
いつまでも残そうとし
悲しい記憶は一刻も早く消し去ろうとする
都合がいいと言えばそうかもしれない
しかし
それは生きてゆく為の支えでもあるのだ
だからこれはある意味正当防衛・・・
彼にとって一番いい選択
・・・
あれ?
此所は何処だ?
白く濁った空と
枯れ果てた大地
生命の名残さえ感じさせない無機質な空気・・
例えるならそれは
・・・
・・
・
それは・・・
何だ・・・?
「おーい」
うーん
「おいってば!」
「ん・・・え・・・!」
振り向くと大きな袋を抱えた男がニヤ付いた笑顔を浮かべていた
人の気配なんてしなかったのに・・・
「そりゃそうだよ
瞬間移動だからな・・
商売はスピードが大事だからなー」
・・・
なっ.!喋って無いのに・
なんだコイツ
かかわりたくないなぁー
「おい、兄ちゃん
あんた、分かって無いだろ此所がどこなのか」
「え・・?」
「ここは霊魂道だよ
まぁ人間の言葉で言う三途の川の通り道って奴だ」
「ハァ?三途の川って・・・」
夢でも見ているのだろうか・・
だとしたら早く覚めて欲しかった・・
「残念ながら
お前は地獄行きだけどな」
早く覚めて~くれ~
かかわりたくないー
「まぁ・・認めたくないだろが
それが真実だ
仕方ねぇなぁ」
無視だ無視・・・
「あの・・宗教なら結構です
僕帰りますね」
こんなのに付き合ってられない
さっさと起きろ・・俺
「・・・そっか・・
まぁ・・用が出来たら来るといいさ・・」
背中越に聞える声を遠ざける様に走っていた
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