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「俺が家出た時が14だったから…そろそろ18歳か。変なこと考えるようになったな」
「お兄ちゃんだけなんだよ、もう」
「なにがだよ」
私も早く家を出たいよ、と、言おうと思ったけど面倒になったからやめた。
そんなこと言ったらきっとこの人も面倒になって相手にしてくれなくなるだろうと思ったから、やめた。
「ところで、進学はするのか?」
「……しないよ」
高校で配られた進路希望調査用紙はまっしろのまま。
進学して、沢山お金が必要になって、また煙たい目で両親に見られると思うと頭がまっしろになったから。
「まぁ、自分で決めればいいけどな」
女に生まれてよかった。そんなに不細工じゃなくてよかった。
進学しなくても、就職しなくても、適当に街を歩いていればいくらでもエサをくれる人がいる。
「女臭くなったな、最近」
「そりゃ、女だもん。お兄ちゃんだって男臭いじゃんか」
「そりゃ、男だからな」
ふぅーっと煙を吐いて、灰皿にタバコを押し付けて火を消す。
名残惜しそうに漂う煙は私に息苦しさを与えた。
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