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風を切るように、白い息を吐きながらアタシは走った。
上着を着てくるのを忘れてしまいセーターだけなのでかなり寒いが、今はもう、どうでも良かった。
携帯を開いて時間を確認すると、時間は既に12時20分を回っていた。
もしリュウが歩いて行ってるのであれば、後10分程で駅に着くはずだ。電車の時間が何時なのかは分からないが、本気で走れば間に合うかもしれない。
でも……、何でアタシ走ってるんだろ? ただの落書き仲間じゃん。それ以上の関係なんてないはずじゃん。それなのにこんなにいっぱい涙流して、こんなに精一杯走ってる。
これじゃまるでアタシ……、
リュウに恋してるみたいじゃん……
そんなことはずっと前から分かっていた。でも目を背けていた。
そっか、やっぱりアタシ……、リュウが好きなんだ……
やっと向き合えた。
駅に着くと、電車はもう既に行っていて、誰も残っていなかった。
足がガクガク震える。走り過ぎた為だ。
喉が痛い。乾いた空気を吸い過ぎた為だ。
じゃあ胸が痛いのは?
もう、会えないからだ。
もう二度とリュウには会えないから。だから胸が痛い。
アタシが駅を出ようとした時、一通のメールが届いた。
知らないアドレスだった。
内容は、
『電話番号教えろ』
それだけ。
でも分かっていた。誰からのメールなのかは。
だからすぐに教えた。
そしたらすぐに電話が来た。やはり知らない番号。
でも電話に出た。
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