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「……もしもし」
『お前よく教えたな。やっぱりバカだろ』
聴いたことのない男の声。でもなんだか妙に安心できる声だった。
「うっさい。あんな単刀直入なメール打つのアンタしかいないでしょ」
『そうなのか? まぁいいや。なぁサチ。今、空見える?』
「えっ? 空? ちょっと待って」
アタシは駅の外に出た。
そして空を見上げると、チラチラと白い物が降ってきていた。
今年初の雪だ。
「わぁ……すごい。さっきまで降ってなかったのに」
『すごいだろ? 俺も今気付いたんだ』
「あ、それよりリュウ、ケータイ持ってんじゃん。嘘ついたの?」
『さっき買ったんだよ。お陰で前の電車乗れなかったんだけどさ。つかお前授業中じゃねぇの? どこにいるんだよ』
「え? 駅だけど?」
『駅!? お前そんなとこでなにしてんだよ?』
「んー、それは……」
そこまで言って携帯を離す。
「リュウに逢うためだよ」
「お前バッカじゃねーの?」
初めて会ったリュウは長身でスタイル良くて、顔はいまいちパッとしないけど、カッコ良かった。あれ? どっかで見たことある気が……、気のせい?
「つか寒いんだけど、そのマフラーよこしなさいよ」
「ったく、サチはワガママだな。ほら」
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