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「あ……朝……?」
差し込んできた陽光に目を細めると、陽光に逆らうようにちょっと寝返りを打つ。
途端
(き、きゃぁああ!!?)
眼前に金髪で整った顔があった。
まるで添い寝をしているような。
と、考える前に体が動き、ベッドの逆側から脱出する。
「な、ななな……」
こっちの心臓が破裂しそうな程脈打っているのにも構わず、ベッドの上の人物は穏やかな寝息を立てて眠っていた。
(なんでエリックが私と同じベッドで、寝てるのよーー!)
自分の様子を見るに、何も変な事はされていないようだが、どうもこうも心臓に悪い目覚めだ。
「……お?なんだアイリス、起きたんか?」
扉を開けてエドガーが入ってくる。
今は黒いワイシャツや腰エプロンはしておらず、薄手のシャツにコートを羽織っていた。
「なな……なんで、エリックが……」
ベッドの下の床で座り込んでいる私を見ると、まるで哀れむような視線を向けてくる。
「わりぃな、びっくりしたろ?………兄貴の奴、眠い時は誰が寝てようと近くにあるベッドで寝ちまうんだよ」
「はあ!?……あ、むぐ」
思わず声を張り上げかけたが、エリックが寝ている事を思い出し、両手で口を塞ぐ。
「はは、大丈夫だって。一回寝たら、誰が起こそうと突っつこうが、蹴ろうが、殴ろうがしばらくは絶対起きねぇから」
あっけからんと答える。
「………」
おそらく上にある「蹴ろうが殴ろうが」と言うのは、既に実行済みなのだろう。
「着替え欲しいだろ?来いよ」
「……う、うん」
立とうとすると足がふらついたが、気合いで立ち上がった。
ズキズキと痛む体。
(……なんで私、こんなに傷だらけなんだろう――……)
そう思いながら、エドガーの後ろをついていく。
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