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私には、双子の妹が居た。
男勝りな私と違い、とても可愛くていつも私を頼ってくれる。
大好きな妹。
「アリス………」
「……ん…」
「あっ!起きた!!」
「!?」
途端に跳ね起きると全身の痛みで一瞬動きが止まる。
「ばっ!お前、怪我人なんだから寝てろ!!」
両肩を押されて無理矢理寝かされる。
「ここ……は?」
視線を巡らせると一応ちゃんとしたベッドに寝かされていて、見たこともない造りだと言うのが分かる。
「あ?国一番の職人が居る店を知らねぇの?」
「…職人……?」
意味が分からず、じっと青年を見る。
長い茶色の髪は肩口で一つに束ねられ、パッチリとした目は紅い。整っていると言えば、整っていると思う。
青年は黒い長袖のワイシャツを肘辺りまでまくり、腰にはエプロンを巻いていた。
「あー?俺の事をじっと見ても何も出してやらねぇぞ?」
「……貴方、誰?」
またもや、「はあ?」とした顔をされる。
「何?お前、この国初めての入国者?」
「…なにそれ……知らない」
「……マジかよ」
ガシガシと頭を掻くと、顎に手を当てて少し考えたような顔をしてから小さく息をついた。
「……ウチは初めての客はお断りなんだけどな。特別だぞ?」
念を押すように言ってから椅子に腰掛ける。
「ここはスウィーツランドって言う国だ。ここにはどの世界一流も手に負えないお菓子職人がたくさん居る。中でも、今お前が居る『帽子屋』は一流の中の超一流って訳」
「……へぇ」
とにかく適当に相槌を打つと、「てめぇな…」と睨まれる。
「言っとくけどな、兄貴の作る菓子は絶品なんだぞ!?二日に一度は女王陛下も頂く位、超逸品モノなんだぞ!?」
「……そうなんだ」
だんだんどうでも良くなって来て、余計適当になっていく。
相手はその態度が気に入らないのか、機嫌は下降線を辿る。
「……まあお前一応怪我人だから我慢してやる。……説明はこれくらいで良いな…?」
「うん……」
「ちなみに俺は『帽子屋美男子三兄弟』の内の次男のエドガーだ」
「ぷっ………普通ソレ自分で言う?」
「っ、うっせーよバカ!!ブス!!」
「は、はあ!?」
起き上がった瞬間、ドアを叩く音がした。
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