一章 帽子屋

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「たく……なんだってこんな可愛くねぇ女をウチに招かなくちゃなんねぇんだよ……全く」 テーブル頬杖をつきながら、ため息を漏らす。 「何か言った?」 「ああ、言った。こんな可愛いくもねぇブス女をなんでウチに招かなくちゃならねぇんだって」 「言葉増えてるし……」 (…私だって……なんでこんな所に居るのか、訳わかんないのに………) 「とにかく寝ろ。早く寝ろ、さっさと寝ろ」 「うるさくて、眠れない……」 「あー?……ったく、可愛くねぇの」 横になっても、隣でイライラされたらかなわない。 「……もう行っていいから」 「……」 毛布を顎まで持ってくる。 (……そういえば、このベッド結構上等なモノかも……) 毛布に鼻を寄せると、不思議にいい香りがした。 「……お前」 「……?」 「……さっき、すげぇうなされてたんだよ。わかんねぇけど………っ…!!早く寝ろよ、バカ!!!」 ふいっとそっぽを向く。 うなされないか、見ててくれるとでも言いたいのだろうか。 そうにしても、もう少し言い方と言うものがあるだろうに。 「……エドガー」 「あ?なんだよ」 「……ありがとう」 「!」 エドガーの顔が一瞬赤くなった気がしたが、睡魔には勝てず、眠りに落ちた。 エドガーは、その寝顔を見ながら頭を掻く。 「……マジ調子狂うんだよ……バカ」
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