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「・・・・」
高杉は談話室で苛々としていた。
自分のクラスの担任と合同になる女子高クラスの担任はおろか自分と同じ代表の女子すら来ない。
どれだけ待たせれば気が済むんだと高杉はキレていた。
静寂の中、高杉は少しだけ目を閉じる。
そして目を開けたとき目の前に少女が居た。
「・・・・」
「遅くなってゴメンね?」
それは自分と同じ代表。
「あたし、桂涼子!!どうぞよろしく★」
そして前世での知り合い。
最も高杉が会いたくなかった人物。
他の者達よりも思い出せる記憶は少しなのにいつまでも高杉の心に残る少女。
記憶の中の少女とは全く違う性格。
こんな満面の笑みを前世の自分は見たことが無い。
なのに何故か心が騒いでいる。
《やっと会えた》
脳内で自分では無い自分が呟いた。
その瞬間目の前が暗くなった。
そして意識が薄れそうになる。
その感覚に必死に逆らい何とか我を取り戻した高杉は偽りの姿で笑った。
「よろしくお願いします」
「・・・・・うん。」
高杉の笑みに涼子は少しだけ不思議そうな顔をする。
「ねぇ高杉君」
涼子はくちを開く。
「はい?」
「あんた、面白いね★」
満面の笑みで涼子がそう言った。
「はい?」
「だって、自分偽る人ってそう居ないから」
その言葉に高杉は驚いた。
「何を言ってるんですか?」
高杉がそう問うた時、談話室の扉が開いた。
「高杉~すまないな遅れて」
高杉のクラスの担任である中谷が涼子のクラスの担任だった桜井を連れて来た。
遅い到着。
しかも自分の問いは無いものとされて、中谷と桜井の話を聞くしかなかった。
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