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【忘れるな、お前は俺だ。】
昔から、覚えている事がある。
【あいつらの事も、あの日々も忘れるな。】
それは、今では無い過去の事。
【そして・・・】
前世と、人は言う。
【あの女を愛している事を】
不自然な記憶。
【決して忘れるな。】
だから俺は隠した。
何もかも忘れたいからじゃない。
唯、覚えている事は不自然だから。
俺は本性すら隠した。
「高杉ぃ~卒業おめでとう」
目立たないように全てを偽った。
「あ、ありがとうございます先生。」
伊達眼鏡をして
「中学でも頑張れよ?」
喋り方も変えて
「はい。それじゃあ」
俺自身を隠した。
何の為の記憶?
何故俺は忘れない?
覚えている事は本当に形だけ。
ぼんやりとしか浮かばないのに、消える事は無い。
色褪せたアルバムの様に・・・
その記憶がもしも鮮やかになったなら俺はどうなる?
あぁ・・・
きっとそんな事は無い。
有り得ないんだ。
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