1 始まりの教科書

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あの日も、 こんな暑い日だったと7月の生ぬるい風を感じながら思った。 公平なくじで勝ち取った窓側の1番後ろは、 あたしをクラスから孤立させるには十分だった。 別に何か問題があって、嫌われてるわけじゃない。 ただあたしがそれを勝手に感じてるだけだった。 「先生ー!分かんねぇー!」 よく目立つクラスの男子がたまに先生の授業を邪魔して、 無駄にでかい声を出すと数学の説明を止めてしまう。 とても迷惑だとため息を吐いたと同時に、 今の時間は数学だと知った。 机の上にある社会の教科書を見ると、小さく笑った。  
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