すれ違う三つ

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「有り難う。────ねぇ、エルダ。一つ頼まれてくれない?」 エレナは運ばれた料理が置かれたテーブルの前に腰掛け、スプーンを持ってスープを口に運んだ。 そのテーブルマナーは完璧である。 誰が何処からどう見ても、“優雅”そのものだ。 王家に生まれた者として、エレナは小さい頃から厳しい教育を受けてきた。 「何でしょう?」 「明日の夕方、東の助言者を訪ねるわ。車の準備をしておいてほしいの」 「!」 今度は両手にフォークとナイフを持ち、ローストされたラム肉を切り分けながら、エレナは言った。 だがエルダと呼ばれた少年は、大きく目を見開いたのだ。 「どうかした?」 「いえ、驚いただけです。エレナ様が彼女のことを、ご存知だとは思いませんでした」 「貴方も、知ってるのね。逢ったことはある?」 「ええ、あります。一度だけ、ですけれど」 「どんな人、だった?」 「美しい女性でした」 エルダは素直に感想を述べた。 .
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