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「美しい女性でした。とても優しかったですよ。
確か、瞳は紅蓮で…。
全てを視透かすような、というより、全てを視ているような目をしていて……」
「……そう。“全て”を」
エレナはエルダの言葉を頭の中に留め、言葉を切って食事に集中した。
エルダはしばらくそわそわする仕草を見せ、
「あの、こんなことを訊くのは失礼だとは存じますが……。何故、ですか?」
躊躇いがちに、そう切り出した。
その言葉に、エレナは僅かな動揺を見せた。
「それ、は……」
理由は、在る。
だが、エルダに言うことはできない。
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