4人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく黙り込んで、そして、
「……“東の助言者”の何が知りたいんだ」
静かに口を開いた。
「彼女は、何者?」
「彼女たちもまた、数奇な運命に生まれたイキモノだ。エレナ、お前と同じようにな」
朱里が持つ黒曜石の瞳が、エレナを捉える。
しかし、その瞳はすぐに伏せられた。
「もう一つ。私に彼女を訪ねるように勧めたのは、どうして?」
「……彼女たちの運命は、お前の運命にも深い関わりがある。
エレナがどんな道を選ぼうとも、お前たちは逢う運命にあるんだ。
そして彼女たちは、必ずお前のチカラになってくれるだろう」
そこで一旦言葉を切って、テーブルに肘をついた。
エレナは朱里の行儀の悪さを咎めるようなことはしなかった。
食事の手は休めることなく、しかし、真剣な面持ちを崩すことなく、朱里の言葉の続きを待っている。
.
最初のコメントを投稿しよう!