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「それに、彼女たちは私の存在を知っている数少ないモノだ。
今、私のことを知っているのはエレナと―――」
「東の助言者?」
「ご名答。彼女たちは、お前たち王家をずっと見てきた。
それが彼女たちの運命がもたらす使命でもある」
朱里はそう言い終えて立ち上がり二人掛けのソファーに仰向けで寝そべるように座った。
肘掛けに首をもたれかけ、天井に仰ぐように。
そして唇を薄く開いて、ゆっくりと息を吐き出した。
「……朱里」
「……何だ」
「“彼女たち”って、言ったわね。もう一人、いるんでしょう?」
「対の存在である、西の助言者。
彼女たちは双子だ。
同じ瞬間に、同じように生まれた。同じ運命を背負い生きている。
お互い対の存在としてな。
そして同じように、死を迎えるのだろう」
そう言った瞬間、朱里はハッと気付いた様子で頭を少しだけ持ち上げた。
「違う…。同じように、死を求めるのだろう……」
「どういう、こと?」
エレナは食後のデザートに手を付けようとして、やっぱりやめた。
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