序章

2/6
前へ
/73ページ
次へ
「────チェックメイト」 高らかに、その声は響く。 チェス盤を挟み、対峙する二人の少女。 二人とも、鮮やかなオレンジ色の髪を持ち、整った顔つきをしている。 二人の面影は何処か似ていた。 双方ともふんわりとウェーブがかかった髪に、美しい髪飾り。 上品な雰囲気を漂わせているが、片方の少女は、額に包帯を巻いており、右頬にガーゼを貼っている。 見ただけで痛々しいものだったが、二人はそれを気にしてはいないようで、そこには和やかな空気が流れていた。 「えっ、うそ。チェックメイト?」 「そう。貴女の負けよ、エレナ」 「あ──ぁ、また負けた。いつやっても、姉さんには勝てないわ。それに、」 「“それに”、何?」 「また、ナイトよ」 .
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加