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「────チェックメイト」
高らかに、その声は響く。
チェス盤を挟み、対峙する二人の少女。
二人とも、鮮やかなオレンジ色の髪を持ち、整った顔つきをしている。
二人の面影は何処か似ていた。
双方ともふんわりとウェーブがかかった髪に、美しい髪飾り。
上品な雰囲気を漂わせているが、片方の少女は、額に包帯を巻いており、右頬にガーゼを貼っている。
見ただけで痛々しいものだったが、二人はそれを気にしてはいないようで、そこには和やかな空気が流れていた。
「えっ、うそ。チェックメイト?」
「そう。貴女の負けよ、エレナ」
「あ──ぁ、また負けた。いつやっても、姉さんには勝てないわ。それに、」
「“それに”、何?」
「また、ナイトよ」
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