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美しいほどに黒に塗られた木製の塀と門に、古い枕木を柱に使ったモダンな構造の一軒家。
玄関は引き戸で、脇の壁には金色に輝く呼び鈴がついている。
玄関の横には広い縁側があり、家の中は洋風の模様が描かれた襖が主のようだ。
「…………」
無言のままで、一歩一歩踏みしめるようにゆっくりと門をくぐった二人の目に入ったのは、淡いブルーの長髪を後ろで一つに結わえている少女だった。
瞳は灰色、その髪とよく映える真っ白なニットと、チェックで髪と同じブルーのスカート。
若干十二、十三歳くらいに見えたが、その少女からは繊細な物腰と大人びた賢さが見受けられた。
その少女はエレナに恭しく礼をして、にっこりと微笑む。
「お待ちしておりました。
オリエント王国第二王女、エレナ・セブラント・リーフィン殿下でいらっしゃいますね?どうぞお上がりください。
奥で凛様がお待ちになっております」
そう言って踵を返し、玄関の引き戸を開いた。
「失礼します」
エレナは玄関に入り、ブーツを脱ぐ。
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