すれ違う三つ

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そのとき、窓の外を見ていた女性が振り向く。 白い肌に美しいほどの紅蓮が、エレナとエルダの二人を捉える。 そしてにっこりと微笑みかけた。 「久しぶりね、エルダ。待っていたのよ、貴方がエレナ王女と此処にやって来るこのときを」 そう言いながら、ゆっくりとした歩調で二人に近づく。 今度はエレナに向かって言葉をかけた。 「そして、貴女たちと逢うのは初めてね。 初めまして、凛、と呼んで頂戴。 東の助言者とも呼ばれているけど、貴女たちとは長い付き合いになりそうだわ」 「よろしく、お願いします。 その…、私の“契約”のこと、ご存知なのですか?」 「ええ、知っているわ。 ―――辛かったでしょう」 そう言いながら目を細め、凛はエレナを抱き締めた。 「凛…、さん……?」 「辛かったでしょう。涙を流すことも、弱音を吐くことも許されずに。 誰かの優しさにも背を向けて、哀しみを必死に堪えて。 ―――辛かったでしょう。 本当に、辛かったでしょう……」 .
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