すれ違う三つ

20/67
前へ
/73ページ
次へ
「―――さて。 貴女たちがこの家に来たということは、助言者である私に話があるということ。 聴きましょう、貴女たちの話。 そしてそれが必要ならば、貴女たちが進むべき道を示しましょう。 でも―――、忘れないで。どうか忘れないで。 私が貴女たちにどんな道を示そうとも、最後に全てを決めるのは、どんなときも本人であるということを。 全ての鍵は、本人の手の中に在る」 二人はテーブルを挟んで、ソファーに腰掛け凛と向き合っていた。 険しい凛の視線と、エレナの強い視線が一瞬だけ、重なる。 そのエレナを見た凛は、ふっと表情を和らげた。 「貴女はそのことを、もう知っているようね。 でも―――。 これからも、どうか心に留めておいてほしいの」 「―――はい。分かりました」 しっかりと、エレナは頷いた。 「エルダもね。約束して頂戴」 「ええ、必ず」 エルダもエレナに習って頷く。 .
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加