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図星だったエルダは、少し強い調子で否定した。
ティナはまた可笑しそうに、本当に可笑しそうに笑った。
「貴女は、愛するヒトの哀しみをいたわることが出来ない自分に腹を立てているのでしょう?
初対面である凛様の前で涙を流すほどに、凛様が彼女の哀しみを理解し、いたわってしまったんですものね。
今度はちゃんと傍にいて、少しでも彼女の力になろうと思っていたのに、退室を頼まれて、後ろ髪が引かれる思いだったのでしょう。
そして今、彼女のことが気になってしょうがないのではありませんか?」
「そんなことはありませんっ。
万が一あったとしても、そんな恋は実ることなんて―――」
「あり得ませんか?」
エルダの言葉の続きを、ティナは優しく繋いだ。
だがその一言は、エルダの心に鋭く刺さった。
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