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「……はい」
エルダだって、自覚している。
相手は王族。
自分は只の使用人。
手の届くことなんてあり得はしない、遠い存在だということを。
「……どうして、ですか?」
「え……?」
「どうして最初から、“あり得ない”と決めるんですか?
どうして、“もしかして”を考えないんですか?」
「そりゃ、相手は王族ですし……」
「相手が王族だからと言って、抑えられるほどのキモチなのですか?」
「そ、それは……」
「エルダさんが言っていることは、そういうことですよ」
「違います!抑えられるわけないじゃないですか」
そう言って、エルダは視線を伏せた。
本心からの言葉だった。
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